皆さんは、「サッカニー」というスニーカーメーカーをご存知ですか?
2012年あたりから日本でもよく見かけるようになったので、見たことがある方、買ったことがある方もいらっしゃるんじゃないでしょうか?
2014年頃にABCマートが大きく取り上げるようになり、「ポストニューバランス」として大キャンペーンを張っていたブランドです。
そんなサッカニーに、最近異変が起きています。
急激に市場価格が落ちて激安化しているんです!
本日は、そんなサッカニーの異変について考察していきます。
目次
そもそもサッカニーとは?
そもそもサッカニーとはどんなブランドなのかをおさらいしておきましょう。
サッカニーとは、アメリカ最古のスニーカーメーカーと言われている歴史のあるシューズメーカーです。
サッカニーは、1898年、ペンシルバニア州カッツタウンのサッカニー川のほとりで創業しました。ブランド名である「サッカニー」や、川の流れを思わせるアッパーのサイドラインには、創業地への思いが込められています。
創業自体はかなり古いのですが、一般的な知名度を獲得したのはかなり遅く1970年代になってからです。
全米でサッカニーが人気を獲得したキッカケ
サッカニーは、1968年、当時ランニングシューズで後れを取り焦っていたマサチューセッツのシューズメーカー「スポットビルト社」に買収されました。
当時から品質の良いスニーカーを作ることで定評のあったサッカニーは、買収をきっかけに、全米での大々的なプロモーションが行われ、アメリカではブルックスと並ぶ品質を持つランニングシューズメーカーとして評価されるようになり、1980年の「ジャズ」の大成功によりその地位を確立しました。
サッカニーの日本での展開は?
日本では、かつてはアキレス社が販売し、2012年からはABCマートが代理店となっています。
冒頭で触れた、2014年頃からの日本国内でのサッカニーの躍進はABCマートの仕掛けによるものです。
このABCマートとの関係は、後で説明する最近の値崩れとも大きく関連してきます。
サッカニーは本当に激安化しているのか?
さて、まずは現状把握をしましょう。
本当にサッカニーの市場価格は壊れてしまっているのでしょうか?
サッカニー「FREEDOM RUNNER」:2,500円(記事作成時点)
サッカニー「DXN TRAINER」:2,160円(記事作成時点)
サッカニー「JAZZ」:2,500円(記事作成時点)
三足ほど紹介しましたが、いずれも2,160円と、3,000円すら切っている激安価格です。 しかも、聞いたことないお店ではなく、総代理店であるABCマートの公式の販売です。
元々7800円~15000円のシューズですので、割引率は70%を超えています。これは明らかに異常事態です。
もはや、一見して激安であることは分かっていただけると思いますが、もっと分かりやすく比較対象を持ってくると、安い靴でおなじみ。通学靴の定番ムーンスター「ジャガーシグマ」の市場価格がおよそ3000円です。
一般的に消耗品として考えられる、通学用シューズよりも値段が下がってしまっているのです。
なぜサッカニーは激安化しているのか?その理由を考察
どうやら、サッカニーの激安化しているのは間違いないようです。
では、なぜ一時は一斉を風靡する勢いだったサッカニーが激安化してしまったのでしょうか?その理由を考察してみます。
サッカニーに春到来。復刻ブーム到来による大量生産
ここ5~6年ずっと、日本はスニーカーブームだと言われていますよね。
特に、2014年頃がそのピークだったと考えられますが、そのキッカケは、スニーカーが世界的に最も流行った1995年から数えてちょうど20年という節目だったことが関係しています。
そのエポックメイキングな節目に合わせて、各社の終売していた人気モデルが相次いで復刻され、商品によっては元値の数十倍というプレミアがつくほど、人気が過熱しました。
いわゆる復刻ブームの到来です。
その復刻ブームにチャンスを見出したのは、ナイキやアディダスなどのナショナルブランドばかりではありません。
国際的な知名度は低いものの、知る人ぞ知るというレベルのメーカーや、一度は市場から姿を消していたのに、復刻という名のもとに強引に復活させたブランドなどもその波に乗りました。
その一つが、日本国内ではほとんど存在感の無かった「サッカニー」でした。
復刻ブームが下火になりブランドが失速
「復刻ブームに乗って『歴史はあるが無名なブランド』の権利を買い取り復活させて売る」という手法は、当初はかなりうまくいきました。
サッカニーもほぼ無名の状況から、名前は知っている程度になったのではないでしょうか。
しかし、ブームとは浮き沈みのあるもので、復刻ブームで盛り上がった機運は次第に落ち着き、その後、世の中の流行は復刻からノームコアへ、次にハイテクシューズへと移り、そしてダッドシューズに至るなど多様化していきました。
その過程で、復刻アピールとレトロ一辺倒だったサッカニーは波に乗り切れず次第に下火になっていったのです。
すると、ブームに乗って製造を加速させ、仕入れまくったスニーカーは不良在庫になってしまうことになります。
不良在庫化したシューズが処分価格で市中に出回り大幅値崩れ
さて、サッカニーの正式代理店はABCマートですが、ABCマートの特徴と言えば全国の販売網を活かした大量仕入れによる価格競争力です。
一方で、ABCマートは東証一部の上場企業でもあります。決算上、在庫は負債として引き当てる必要があるため、不良在庫は少なくしなければいけません。
ブームを見越して大量に仕入れていたサッカニーは販売の低迷とともに不良在庫として積みあがります。
では、不良在庫化したスニーカーはどうしたらよいでしょうか?
一つは、正攻法である、赤字販売です。在庫として持ち続けるより、出血価格でも売ってしまわないと負債として残り続けてしまいます。
もう一つの方法として考えられるのは、他の卸商社やセレクトショップ、量販店などにまとまったロットを超安価で引き取ってもらう方法。いわゆる、バルクセールという方法です。
引き取る側のお店としては通常では考えられないほどの安価で商品が仕入れられるメリットがあります。一方、売る側は販売そのものでは利益無し、もしくは、赤字になりますが、不良在庫になるよりはマシなので引き取ってもらえるだけでありがたい商品は赤字価格で市中に流すのです。
そうして、原価が異常に引き下がった状態で市中に商品がバラまかれた結果、サッカニーは大幅に値崩れを起こし、激安販売に繋がっていると考えられます。
いかがでしょうか?
以上は推測ではありますが、世の中の流れ、物流、企業としてのバランスシートなども考えると結構当たらずとも遠からずという内容になっていると思います。
サッカニーのスニーカーは、今現在かなり手に入りやすい価格になっていて、不安に感じる方もいるかもしれませんが、品質はかつて「ポストニューバランス」と言われていたころと全く変わっていません。
つまり、お買い得に買うなら今が狙い目ということですね!!