ナイキ初期の名作を復刻「デイブレイク」の歴史と時代背景&特徴を解剖

ナイキデイブレイクアンダーカバーコラボバージョン

2019年、ヴィンテージ好きにはたまらないスニーカーが発売されました。

それが、ナイキ「デイブレイク(Daybreak)」です。

このデイブレイクは、復刻ネタも尽きかけてきた昨今においては、久しぶりの大物復刻スニーカーということもあって、ナイキ公式サイトでもかなり大きく取り扱われています。

人気アパレルブランド「アンダーカバー」とのコラボモデルも発売されるなど、マーケットへの仕掛けも十全です。

しかし、このデイブレイク。販売終了以来、一度も復刻されることがなかったため、あまりその歴史が知られていない面があると思います。

今回は、調べられる限りでデイブレイクの背景を探ってみました。

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ナイキ「デイブレイク」の歴史と開発背景

デイブレイクの歴史を語るには、ナイキの歴史に少し触れる必要があります。

ちなみに、ナイキの詳しい歴史は、以下の記事にどこよりも詳しく書いてありますので、ぜひご参考に。

ナイキは、元々オニツカタイガー(現アシックス)の米国における販売代理店でした。

しかし、オニツカタイガーとの関係が徐々に悪化。1971年、日本の商社である日商岩井の資本を得たことをキッカケについに独立し、1972年には日本のアサヒシューズの工場を拠点にスニーカーの自社製造に着手します。

ナイキ創業後は積極的な広告展開と、商品開発力を武器に順調にシェアを獲得。1974年には、オニツカタイガーとの間で裁判沙汰になっていた「コルテッツ」の裁判にも勝利し、勢いに乗ります。この頃から、米国内での製造拠点の整備にも力を入れ始め、「Made in USA」のナイキも市場に出回るようになります。

そんな、飛ぶ鳥を落とす勢いのナイキが、1978年、ついに世界で初めて空気をクッション代わりに用いる「エア」機構を搭載したスニーカー「テイルウィンド」をリリースします。このテイルウィンドは、まだエア機構の完成度が低かったものの、80年代のエアフォースワンやエアジョーダン、90年代のエアマックスへとつながっていきます。

そして、同時期である1979年にリリースされたのが「デイブレイク」です。

デイブレイクのデザインと機能の特徴

「夜明け」と名付けられたデイブレイクは、アッパーのデザインモチーフが「灼熱のアリゾナ砂漠から登る朝日」だったことから来ています。

技術的にも「エア」とは別の意味で時代を先取りしたランニングシューズでした。

当時シューズ用としてスポンジに代わり使われ始めたEVAソールを贅沢に搭載し、ビル・バウワーマンが開発したナイキ独自のソール技術「ワッフルソール」を組み合わせたソール構造が最大の特徴です。

アッパーは軽量性を追求したナイロンとスウェードのコンビネーションで、ごくごくシンプル。つま先に向かって尖っていくような構造は、「コルテッツ」とは全く異なるアプローチで都会的な魅力を感じさせます。

そのほかにも、ヒールカップを搭載したインソールや、パッド入りのカラーなど意欲的に機能を詰め込んだ、当時ハイテクスニーカーでした。

同時期にインターナショナリストやチャレンジャーなど、同じコンセプトで定番を勝ち取った商品が多かったため、現在に至るまでの40年間一度も復刻されず、時代のあだ花のようになっていた「デイブレイク」ですが、今回の復刻を機に40年前のレトロな雰囲気を感じてみてはいかがでしょうか?

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