お気に入りのスニーカーや、やっと手に入れたレアものスニーカーを長く履きたい!しかし、大切に履いていたとしてもスニーカーは徐々にボロボロになり履けなくなってしまうものです。
スニーカーはなぜボロボロになってしまうのか?
スニーカーの寿命とは何年くらいなのか?
今回はスニーカー劣化の秘密を解説していきます。
目次
スニーカーの劣化原因「加水分解」とは?
ゴムやウレタンなどの化合物は、化学反応を経て2種類以上の元素が化学結合で生成する物質です。
その化合物に水が長期間にわたり接触すると、徐々に水が素材に吸収され塩基配列に干渉し、化学結合を解いてしまう別の化学反応を起こしてしまいます。
それが加水分解なのです。
つまり、加水分解は化合物と水がある以上は必ず発生してしまう化学的な現象で避けようはありません。
ここでいう「水」とは、大気中の湿気も含まれており、高温多湿の日本の環境は特に加水分解が起きやすい国であるといえます。
もちろん、水の中には体から出る汗も含まれているため、時計のラバーベルトやベゼルなど日常的に肌に触れるものは加水分解しやすいものの代表格といえます。
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スニーカーが加水分解でボロボロになる理由
スニーカーがボロボロになる理由も「加水分解」によるものです。
加水分解はどんな水分でも原因になりえます。
雨水でも、汗でも、空気中の水分でも、水分であればなんでも原因になるのです。
加水分解は、ポリウレタン素材を使っていれば必ず起こる現象なので、Gショックなどのウレタンベルトを使った時計でも起こります。ウレタン製ベルトの時計を使用している方は水や汗で濡れたまま保管するのは絶対に避けた方がいいでしょう。
さて、スニーカーの話に戻りますと、スニーカーのミッドソールにはEVAやポリウレタン素材が多く使用されています。
このEVAやポリウレタン素材は、軽くてクッション性が高いほか、耐磨耗性にもすぐれておりシューズにとって最高の素材と言えますが、最大の弱点が化学的に生成された化合物ですので、加水分解による劣化が起こりやすいという点なのです。
スニーカーの場合、耐衝撃性能を高めるためポリウレタンなどを発泡させ、気泡を含んだいわゆるスポンジ状に加工しているため、空気との接触面積が他の製品よりも多くなり大気中の湿気を吸収してしまったり、ものによっては本当にスポンジのように水分を含んでしまうこともあるのです。
そして、長期間水分にさらされ続けることで加水分解を引き起こし、使い込んだスポンジがちぎれるように結合部分からボロボロになっていくのです。
スニーカーの寿命は何年くらい?
スニーカーは残念ながら、経年劣化は避けられません。
どんなに大切にケアしていても、仮に一度も履いていなかったとしても素材的要因で必ず劣化し、ボロボロになります。
一般的にポリウレタンの平均寿命は製造から3年~5年と言われています。
つまり、スニーカーの寿命は製造から3~5年だと言っていいでしょう。
これは、「製造から」というのがポイントです。
つまり、スニーカーが商品として店頭に並んでいるときから劣化は始まっているのです。
もちろん、未着用であれば汗などに触れることもないため劣化の速度も遅くはなりますが、まれに出回る「デッドストック品」などは、保存環境や期間などによってはすでに劣化が進んでしまっている場合もあるので、未着用だったとしても購入の際には注意が必要です。
スニーカーの加水分解を遅らせる保管方法
また、自宅での保管の際には、以下のことに注意してください。
- 靴箱に除湿剤を入れたり、靴用除湿剤で湿度管理を徹底する
- 雨に濡れたら絶対に濡れっぱなしにしない
- 日常では水洗いは極力避け、防水スプレーをソールのほうまでかけておく
特に高温多湿の日本では、圧倒的に湿度が高くなりやすく、スニーカーにとっては世界的に見てもハードな環境といえるため、靴箱用除湿剤、靴専用の除湿剤は必ず用意し、徹底した湿度管理にこだわりましょう。
最終的に「スニーカーは消耗品である」と割り切ろう
近年、コラボ商品や限定品商法など「履かないスニーカー」に対する投資熱が高まっています。
コレクターがコレクションとして集めるならまだしも、転売屋が高額で売りさばくために買い込んでいる状況もあり、そういったスニーカーは高値でマーケットに出回りはするものの、価値を保つために未着用のまま価格だけが高くなっていっているバブルといえる状態になっています。
しかし、スニーカーは着用しようがしまいが、ケアをいかに頑張ろうが頑張るまいが、必ず劣化するのです。
そして、その寿命は3~5年なのです。
どんなに高価なスニーカーでもいずれ加水分解で朽ち果ててしまう運命なのであれば、そのシューズが一番輝いているときに、キチンと履きこんで愛用してあげるのが正しいスニーカーとの向き合い方ではないでしょうか?
投資対象やコレクターズアイテムとしてではなく、ちゃんと道具として、消耗品としてスニーカーをとらえることで短くても濃くスニーカーと付き合えるのではないかと思います。