前回、「ノームコア」とは何だったのか、その意味するところが何だったのかを紐解きました。
ノームコアの「普通の服をカッコよく着こなす」というブームにはデメリットがあり、ファッションが画一化したり、モノトーン化してしまう傾向があり無個性だという批判も生みました。
そのような中で登場したのが「タッキー」ファッションというスタイルです。
目次
「タッキー」ファッションって何?
タッキーとは、ジャニーズの滝沢秀明君のことではありません。
英語の「tacky」という単語です。
「Tacky」を辞書で調べると、こんな言葉が並びます。
〈俗〉ださい、趣味の悪い、悪趣味の
〈俗〉薄汚い、ぼろっちい、だらしない
〈俗〉安っぽい
あまりいい言葉が並んでいないのですが、一言でいうと「ハズシ」のファッションと言えると思います。
それまでの「シンプル」「モノトーン」に飽きた人たちが、一見すると「悪趣味」に思えるようなビビッドなカラーを見事に着こなすのがカッコいいとするファッション界の新しい価値観です。
タッキーファッションのコーディネイト例
タッキーと言ってもあまりイメージができないと思うので、いくつか「タッキー」のキーワードでコーディネイトを探してみました。
なぜタッキーファッションが注目されたのか?
タッキーファッションが流行した背景には、ノームコアへの反動があります。
ノームコアムーブメントは、ライフスタイルの洗練とファッションのシンプル化を巻き起こしました。
それにより、ユニクロをはじめとした無地デザインやノンロゴのブランドが大きく売り上げを伸ばした一方で、大きなブランドロゴがアイコンだった「アバクロンビーアンドフィッチ」が経営的に大ダメージを受け、倒産寸前になるなど社会的にも大きな影響も及ぼしました。
しかし、シンプルな服装で個性を表現するには、本人によほどの魅力が無ければ難しいので、結果として誤った解釈である「ファッションについて何も考えない」という人々を生み出しました。
すると、満足できないファッショニスタたちは個性の表現として、色彩の激しい色使いやアニマル柄などの「きわどい」ラインを攻めるようになりました。それが、タッキーファッションの勃興です。
周囲が「ノームコア」で地味な服装をするなか、タッキーファッションはその強烈な個性でインパクトを与えました。
今、タッキーファッションはどうなっているのか?
今、「タッキー」はどうなっているかというと、あまりそれが押し出されることは少なくなっています。
そもそも、やはり「悪趣味」とされるようなカラフルな服を着こなせる人は多くなく、オシャレ上級者の間だけの局地的なブームだったという見方が一般的です。
しかし、ノームコアが無個性じゃないかという指摘は大いに的を射ており、それまでのノームコア信奉者も、靴や靴下、ハンカチやジャケットの裏地など、ワンポイントで個性的なカラーを取り入れようとする向きがあるようです。
そういう意味で、ノームコアとタッキーが融合し、シンプルさと個性のバランスが取れてきたというのが現在の状況かと思います。
そして、そのバランスの取り方の一つとして近年再評価されているのが、90年代のギークたちに支持されたちょっとオタクっぽいちょいダサファッション「ナード」ファッションなのです。
スニーカーに「タッキー」を取り入れよう!
上でも述べたように、全面的にタッキーを取り入れるのはリスキーですし、着こなせない。でも、ノームコアは飽きた。そんな人が行きつくのが、ワンポイントタッキーです。
その取り入れ方として、オススメしたいのはスニーカーでタッキーを取り入れること。シンプルな上半身とビビッドな足元のコントラストが最良のバランスです。